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第7部:発信・評価・フィードバック

卒業研究の段階では、ここから先は読み飛ばしてかまいません。 ただし、もし卒業研究で学会発表をする機会があるなら、口頭発表とポスター発表の章だけは目を通しておくと役に立ちます。論文投稿や査読の話には、修士課程以降に必要になったら戻ってきてください。

第7部は「伝える」「評価される」「また伝える」の往復についての話です。研究はあなたの机の上で完成するものではなく、学会や査読といった他者との対話のなかで少しずつ磨かれていきます。ここではその対話に参加するための技法を、僕が発表と査読の現場で学んできたことを交えて書いていきます。

まず学会発表です。口頭発表とポスター発表 で二つの形式の違いを押さえたうえで、口頭発表(オーラル) にスライドの設計から当日の話し方、質疑応答までをまとめました。ポスター特有の作法は ポスター発表 にあります。初めて壇上に立った日のことは コラム:初めての学会発表で気づく「伝える」ということ に書きました。

次が論文です。投稿先の選び方と投稿前の準備は 論文投稿プロセス、査読という制度そのものの仕組みは 査読の仕組み にあります。結果が返ってきてからの実務――コメントの読み解き方、優先順位のつけ方、返答書の構成と提出前の点検――は 査読コメントへの対応 の一章にまとめてあって、この部でいちばん手順に近い章です。初めての査読で「建設的批判」の意味が腑に落ちるまでの過程は コラム:初めての査読で知った「建設的批判」の意味 に、採択後の校正刷りの点検とリジェクト後の再投稿は 採択・リジェクトから学ぶ に置きました。

査読する側に回ったときの責務、研究を社会に伝える発信、SNSとの付き合い方、国内学会と国際会議の使い分けについては、巻末の この先の地図 に短い概説を置いています。どれも必要になってから読めば十分な話です。

第5部・第6部との役割分担を一行で言えば、そちらが「概念をつくり、名付ける」技法、この部はその先で 名付けた概念をどう手渡すか です。発表や査読は、あなたの概念が他人の言葉に翻訳されていく場でもあり、そこで受け取る反応が次の概念の種になります。また、学会発表を準備する段取りそのもの――予稿の締切、練習の組み方、当日までの動き方――は 第3部:学会発表(予稿・練習・発表) に書きました。プロセスとしての段取りは第3部、その場で使う技法はこの部、というふうに行き来して読んでもらえるとちょうどいいと思います。

発表も査読も、最初は緊張するものです。僕自身、はじめての発表では原稿を丸暗記して本番で真っ白になりましたし、はじめての査読返答では書きすぎて編集者に呆れられました。それでも、この対話の場を避けずに立ち続けたぶんだけ、研究者としての輪郭がはっきりしてきたと思っています。あなたが自分の研究を誰かに届けようとするとき、この部が小さな手がかりになれば幸いです。